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既約剰余群 [数学]

ここで、ちょっとバックします。

Z/pZは巡回群であることは、前に出てきました。

では、素数のべき乗の既約剰余群(Zp^nZ)はどうでしょうか?

実は、これは巡回群の直積に同型になります。

Z/2^nZ≅(Z/2^n-2Z)(Z/2Z)

Z/p^nZ≅(Z/p^n-1Z)(Z/(p-1)Z)

のようになります。

このへんは難しいです。

可解群と累巡回拡大の対応 [数学]

だんだん核心に近ずいてきました。

有理数体Qのガロア拡大体Kのガロア群をGとする。

このとき、Gが可解群であれば、KはQの累巡回拡大

となります。

この逆もいえます。

ガロア群は重要です。

原始根について [数学]

原始根について、補足します。

剰余群(Z/pZ)で、整数Zの元をpを法として割った余りが、1、2、・・・p-1
になるグループに分けたとき、それらを剰余群とします。

ここで、ある整数のベキ乗が、すべての剰余群の元になるとき、それをpの
原始根といいます。

原始根は、一つだけとはかぎりません。素数pの原始根が存在しますが、証明は
難しいです。

剰余群は巡回群である [数学]

以前に剰余群(Z/pZ)が出てきました。

ここで、pは素数とします。

ベキ乗を計算すると、すべての元になるような元を

pの原始根といいます。これは、既出です。

pの原始根はかならず存在します。

これらのことから(Z/pZ)は、位数p-1の巡回群に同型に

なります。証明は略します。

べき根について [数学]

根号で表される数を加えて作る体をべき根拡大体といいます。

体K上の方程式、x^nーa=0の一つの解n√aを加えて作った

拡大体K(n√a)です。

ここで、もとの方程式が既約かどうかは、考えないとします。

また、べき根拡大を繰り返してできる拡大体を累ベキ根拡大体といいます。

可解群ふたたび [数学]

天下り的ですが、ご勘弁を。

ある群Gがあって、その部分群の列が、すべて上位の群の正規部分群に

なっていて、剰余群(Hi-1/Hi)が巡回群になるとき、Gを可解群という。

  G=H0⊃H1⊃H2・・・⊃Hs={e}

となっているときです。

ガロアは、べき根拡大で解の対称性が減少していくとき、正規部分群が
関係してくることを発見しました。

これは、解の公式を求めるときに出てきます。巡回群もその意味がわかる
でしょう。

正規拡大体の重要性 [数学]

ある方程式の解が、Qの正規拡大体であることが言えれば、その方程式の解は

代数方程式の解の多項式で表せることになります。つまり、解けるか

どうかは、方程式の群を調べていけばいいことになります。ガロア群を調べれ

ば、(その部分群を徐々に調べることになります)正規性が確認できます。

それが、ガロア拡大を調べることになります。

説明しにくいですが、また後にでてきます。

正規拡大体について再び [数学]

以前にも出てきましたが、再び書きます。

Qを含む体Kからの任意の元のQ上の最小多項式f(x)を考えます。

このとき、f(x)=0のすべての解がKの元であるとき、Kは正規性

を持つといいます。正規性を持つQの拡大体を正規拡大体といいます。

最小分解体はQ上の正規拡大体です。

この証明は略します。

ガロア拡大について [数学]

以前にも、出てきましたが、ガロア拡大の定義は難しいので、その条件について

記してみます。

拡大体Q(α)のαの最小多項式f(x)=0の解を、α1=α、α2、・・・αnとすると、

Q(α)がQのガロア拡大体である条件は、α1からαnまでが、Q(α)に含まれることである。

このとき、Q(α1)=Q(α2)=・・・=Q(αn)となる。

これも分かりにくいですね。ある方程式の解の拡大体は、すべて同じものであるという
わけです。

原始元の存在 [数学]

この件については、前にも出てきているのですが改めて記載します。

α、βをQ上の方程式の解とします。このとき

   Q(α、β)=Q(Θ)となるΘが存在する。

このΘを原始元といいます。

つまり、方程式の解の拡大体は、あるひとつの数(方程式の解)の拡大体
であらわせるのです。

これを、さらに一般に拡大して、色んな方程式の解の拡大体は、ある原始元
の拡大体として表せることになります。つまり、ひとつの数Θの多項式で
表せることになります。これは、おどろくべきことですが、どういう利点が
あるのでしょうね。

自己同型群 [数学]

体Kの自己同型写像は、写像を連続的に行うことで積について群に

なっています。この群を、体Kの自己同型群といいます。

  自己同型写像を、σ、τとしたとき積のσ・τをσ(τ(α))とします。

  ここで、αはKの元です。

次の定義は重要です。

一般に、f(x)=0の最小分解体に関する自己同型群のことを

f(x)のガロア群と呼びます。これは以前にも出てきていますが、

ここでの定義の方が分かりやすいと思いますが、どうでしょうか。

同型写像が自己同型写像になる条件 [数学]

Q(α)に作用する同型写像σについて、σ(α)がQ(α)に含まれるとき、

σはQ(α)の自己同型写像になります。

自己同型写像とは、同型写像が体Kから自分自身のKへの写像であるとき

ですから、なんとなく分かると思います。

以前に、最小分解体というのが出てきましたが

Q(α、β、γ、・・・)=Q(α)=Q(β)=・・・となります。

これは、不思議ですが後になってまた出てくると思います。

ここで、α、β、・・は、n次既約方程式f(x)の解です。


拡大体の線形空間 [数学]

αをQ上のn次既約多項式f(x)=0の解の一つとします。このとき

Q(α)は、Q上の線形空間であり、{1、α、α^2、α^3,・・・、α^n-1}の

一次結合で元が表される。

この証明は略しますが、例を示します。

Q(√2)=a+b√2(a、bは有理数)となります。

ここで、右辺が0であれば、aとbは0です。よってQ(√2)は{1、√2}の

一次結合で一意的に表されます。

解の拡大体の同型写像 [数学]

前回の、Q(α)ですが、n個ある解の拡大体で、

Q(α)から、自分自身もふくむ拡大体への同型写像は

n個あります。これは、n次既約多項式の解の場合です。

解の置換は、nの階乗だけありますが、同型写像は

n個しかないのです。このことの証明は後になって

でてきます。

同型の続き [数学]

この前に、多項式の剰余類群と単拡大体のところで出てきた
同型の関係を思い出してください。

Q(x)/f(x)≅Q(α)

ここで、f(x)は、n次方程式で、αはその解のひとつとしています。

f(x)がn次既約多項式のとき、f(x)は異なる解、α1、α2、・・・αn
を持ちます。このとき

n個のQ(αi)は、同型となります。

また、αiとαjは共役であるといいます。
この共役は前に出てきたかもしれません。

  Q(α1)≅Q(α2)≅・・・≅Q(αn)

これは面白いですね。


単拡大体の元の表現は一意である [数学]

前に書いたかもしれませんが、再度載せます。

数αのQ上の最小多項式が、n次式f(x)であるとします。
このときQ(α)は有理数の係数の、αのn-1次式で表され、
それは体となります。また元の表現は一意となります。

このとき、Q(α)はn次拡大体といいます。

   Q(α)={aα^n-1+bα^n-2+cα^n-3+・・・|a,b,c,・・・は有理数}

この一意性は割と簡単に分かります。

Q(α)が有理数係数の、αのn-1次式で表されることは以前の記事を
参考にして下さい。

多項式の剰余類群と単拡大体 [数学]

久しぶりの更新です。

ある代数的数αの最小多項式をf(x)とすると、

Q(x)/f(x)≅Q(α)となる。

ここで、Q(x)/f(x)は、xの有理係数多項式の集合を
Q(x)として、既約有理係数多項式f(x)でQ(x)を
割った余りで多項式を分類した剰余類の集合です。これは体
となります。

この体は、αの代数拡大体と同型になります。
証明は省略します。
この記事のタイトルに群とありますが、体と考えてもいいです。

飯高先生に質問すれば [数学]

飯高茂先生が学習院大学を退職され、ふりーになられました。
で、無報酬でも有償でも仕事をされるそうです。携帯に電話するか
メールをすれば、運がよければいろいろ教えてもらえますよ。

連絡先は、飯高茂で検索してみて下さい。

なお、最近はお忙しそうです。

5次代数方程式の解の公式がないこと [数学]

また久しぶりの更新ですが、ここでは厳密な議論ではなく直観的な
おおまかな方程式の解の公式について記します。

まず、一般に、n次代数方程式を代数的に解くとは

  x^n+a1・x^n-1+・・・+an=0

で、方程式の係数のa1~anを使って解のx1~Xnを求める
ことです。係数の四則演算とべき根をつかって解を求めることです。
ここで、係数は解の対称式から成りますから

係数を足したり引いたりの四則演算では、どうやっても式の値は
変わりません。つまり係数に含まれる解の対称性は崩れないのです。

2次方程式の解の公式に出てくるように、この係数の四則演算に
ベキ根をとることにより、解の対称性が崩れるのです。x1から

xnまでの対称式からなる係数は、対称性の高い状態です。それ
に比べて、x1やx2など単独の解は対称性の低い状態です。

解の対称性の高い係数の四則演算とベキ根により段階的に対称性を
下げていき、最終的にx1やx2などの解を求めるというのが

解の公式を求めるやりかたです。それで、2次から4次まではうま
く解の対称性が崩れていくため解の公式があるのです。

それは、何故かというとある段階での係数の四則演算のベキ根を
とったとき解の置換により異なるものが発生するからです。

そのため、それらを組み合わせると対称性が下がってくるのです。
2次方程式の解の公式で、ルートに±が出てくるのが、その例です。

ここから、ちょっとわかりにくいですが、対称性を調べる方法とし
て、解の置換群を考えるというものがあります。5次の置換群が

5次方程式の解の性質を表しています。5次の置換群を最初に
崩すと、5次の交代群になります。ところが、5次の交代群は

偶置換のみからなるため、ベキ根をとっても対称性が崩れないの
です。なぜそうなのかは、ここでは書けません。

というわけで、5次の方程式の解の対称性は代数的演算だけでは
とけないのです。つまり解の公式がないということになります。

さらに詳しいことは、また後に書きます。





飯高先生の本 [数学]

方程式に関する本です、共立から出ている、体論これは面白い、というのがあります。
これはがロア理論は扱っていないが、同じよう議論をしている。
丹念に読めば、わかるかもしれない。だが、専門書なので、覚悟しておいたほうが
いいだろう。


ガロア理論の好著は・・・ [数学]

前回、すこし書きましたが、今回は追加です。

まず、ガロアの論文を含めて説明が詳しいのは、東大の彌永先生の
「ガロアの時代・ガロアの数学」です。

群論から体論まで詳しいのが、原田先生の「群の発見」です。ガロア
理論をわかりやすく通説したのが、足立先生の「ガロア理論講義」
ですが、これは改訂版が出ているらしくて、それを私は見ていません。

東工大の石井先生が、ちょっと前に出された、「ガロア理論の頂きを
踏む」は、数学科以外の学生でも最初から読んで行けば、わかると
思います。

そのほか、いろんな本が出ていますが、こつこつ読んでいくしか手が
ないと思います。私自身上記の本をすべて読破したわけではありま
せん。が、すこしでも皆さんの参考になれば幸いです。

ガロア理論の学び方 [数学]

ガロア理論に関連することをいろいろ書いてきました。

ガロア理論をガロアが考えた通りに学ぶことは難しく
て、現在までにいろいろな解説本が出ています。ガロア
の論文を理解することは、私にもできません。
群論についての議論で説明した本が多いようですが、
ブルーバックスや、技評などの本では、正確に理解は
できないでしょう。

代数学の本では、数式がやたらと出てきて大学の先生
が教えてくれるのならテキストとしてはいいでしょうが。
やはり、分かりやすいものは少ないようです。おそらく
一冊の本で、ガロア理論をマスターするのは、よほど
優秀な人でないと無理のような気がします。

学生時代に、代数学の授業がある人は、これ幸いとば
かりで先生によく教わったほうがいいでしょうね。質問
したりして。

書名は書きませんが、最新刊で詳しく割と段階的にわか
りやく書かれた本もあるようです。それにしても、日本で
も戦前からこの分野を学ばれて、優れた仕事をされた
数学者の方も多いのですから先人はすごいな、とも思い
ます。

これからも代数に関係することを書いていきます。

方程式が表す数 [数学]

ひさしぶりの更新です。
すこし、お話的になりますが、代数方程式の解は有理数を含みます。
これは、x-a=0(aは有理数)の解が有理数だからです。

では、代数方程式の解で、係数の四則演算とベキで表せる数は、どうなの
でしょうか?。これは、代数方程式の解の数に含まれます。
つまり、代数的数は、解の公式(は一般にありませんが)のようなもので
あらわせる数よりも多くの数を持っているのです。

  有理数 ⊂ 係数の四則演算とベキの数 ⊂ 代数的数

という関係です。

実数には、代数的数でない数、たとえば円周率や自然対数の底などが
あります。代数的数よりもはるかに多い、これらの数は超越数と言われます。
ある数が超越数かどうかを証明するのは、非常に難しいとされます。

対称群の非可解性 [数学]

群Gが可解群ならば、Gの部分群Hは可解群である。

この証明は、Gが可解群であるから解鎖列であることと、第2同型定理により

証明される。第2同型定理とは、つぎのものである。

     H/(H∩N) 同型 HN/N

上のことより、5次以上の対称群Snは、可解群ではない。

5次以上の対称群は可解群でない部分群の交対群Anをもつからである。

5次方程式は根号で解けない [数学]

5次以上の交代群Anは可解群ではない。

このことから5次以上の対称群Snは可解群ではないことが言える。

これを証明するためには、5以上の交代群の正規部分群Nで、An/Nが巡回群

となるようなNが、存在しないことを示せばよい。

この証明は略します。

S5の交代群A5は可解群でなく、したがってS5は可解群ではない。


可解群の定義 [数学]

前にも書いたかもしれませんが、再度書きます。

ある群Gがあって、

   G=H0⊃H1⊃H2⊃・・・・・・⊃Hs={e}

という、部分群の列があるとします。このとき、Hi がHi-1の正規部分群になっていて、
剰余群(商群)Hi-1/Hi が巡回群となるとき、Gを可解群という。

方程式が、べき根と四則演算で解ける条件は、その方程式の群が可解群であること
と同じです。これについては、また、ずっと後で証明します。

前回の補足 [数学]

代数方程式の解の性質で、もし解の属する群が巡回群であるならば、その元はある元のべき乗
となり、このことから解は四則演算とベキ根よりなることがわかります。

私は、この証明を本では確認していませんが、数学者の飯高先生からお聞きしました。
現在、私の手元にある数学の本のどこかに載っているはずなんですが、怠惰のため調べていません。

もし、詳細が分かれば、また記事にします。

方程式の可解性 [数学]

随分長い間、更新せずにいてすみません。近いうちにまた更新します。

で、代数方程式が加減乗除とベキ根でとける条件ですが。解の性質は
n次の対称群と同値になります。このもとの群の部分群が正規部分群
でありつずけて、最後に単位群になれば可解であるといえます。

それは、なぜかと言えば、次数の高い部分群の元が、巡回群になる
ことから言えるのだそうです。私は、まだ確認していませんが、それが
可解性の肝になるようです。

また、この件は記事にします。

続交換子群 [数学]

前回の証明です。

  x∈Gに対して

  xaba-1b-1x-1=(xax-1)(xbx-1)(xax-1)-1(xbx-1)-1 より

  x(D(G)x-1∈D(G) となる。xD(G)x-1=D(G) なので

  D(G)はGの正規部分群である。

  G/D(G) は群になる。aD(G)b(D(G)=abD(G)である。

  ここで abD(G)=baD(G) と 同値なのは

  a-1b-1abD(G)=D(G) さらに a-1b-1ab∈D(G) で最後は交換子

  なので成立する。

  よって G/D(G) は可換である。

  難しいですね。
 

可解群ふたたび [数学]

  以前にも可解群の記事はあったと思いますが、別の見方を載せます。

群Gの交換子群D(G)をD(G)=「交換子aba-1b-1で
生成される群」と定義する。Gが可換群なら
   ab=ba よりaba-1b-1=e となるのでD(G)={e}

となる。交換子群はGの可換性を測るものとなる。

交換子群の交換子群を、

D2(G)=「aba-1b-1 |a,b ∈D(G)」で生成される
群とする。
Dn(G)を帰納的に定義する。
  ある自然数nが存在して、Dn(G)={e}
となるとき、Gを可解群という。

このへん分かりにくいですね。

ここで定理です。
  D(G)はGの正規部分群であり、G/D(G)
  は可換群である。

この証明は次回に書きます。

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